ドイツ女子的生活

ドイツで性別移行することにしたMtFの備忘録

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相変わらずドイツはロックダウン真っただ中だけど、仕事は家でできるし、休日は家でゴロゴロするのが苦じゃないタイプの人間なので気軽に過ごしてます。

唯一の悩みは美容院が閉まっていること。年に2回くらいのペースでやってる縮毛矯正ができないのがつらい。そもそも外に出ないからいいじゃんって感じだけど、毎朝鏡を直視できない笑

 

カウンセラーからホルモン治療の承諾書(もどき)貰ったし、あとは血液検査を受けたらいよいよホルモンだ!

・・・って思ってたんだけど、この承諾書(もどき)がネックになってしまいました。

内分泌科の先生に書き直しを求められた件を、カウンセラーの先生と話し合ったんだけど、結果として新しいカウンセラーを探すことになりました。今の先生はトランスの知識がなくて、年齢的にも新しいテーマを学ぶのは難しいということでした。年齢聞いたら80代とのことで、しょうがないんだけど・・・

現実は甘くないなぁ

新しい先生探すの面倒くさいなぁ

ホルモン治療の事前診断

内分泌科の先生に会ってきました!トランスの治療は慣れているようで、親にカムはしてるかどうかとか、もし将来子供が欲しいとしたら精子バンクを検討したほうがいいとか、身分証明書の性別変更手続きの話とか、親身になって説明してくれました。私は身分証明書上は男だけど、クリニック内ではFrau(ミス/ミセスのドイツ語)で呼ぶように手配もしてもらえました!

染色体検査と血液検査の結果が揃い次第、ホルモン治療を開始できるそうです。ただ、染色体検査はクリニック内でできたものの、血液検査(血栓症のリスクの有無とか)はその場でできず、紹介されたクリニックも予約が来月までいっぱいでした😩まぁクリスマスシーズンだししょうがないかー

あと、カウンセラーの先生に貰ったホルモン治療の承諾書(私がネットで探してきた文面なんだけど笑)を書き直して再提出してほしいと頼まれました😅文面がフワフワしていて、なぜホルモン治療が必要であると診断したかの経緯が抜けているとのこと・・・次のカウンセリングで相談してみるけど、カウンセラーの先生もトランス初心者だし、結局私がドラフトを書く羽目になりそう。

 

というわけで結局来年になりそうだけど、いよいよホルモン開始できそうです😊昨日までは緊張とちょっと迷いもあったんだけど、今は不思議と清々しい気持ちになれてます。

 

ホルモン開始間近?

ホルモン治療ができる病院がどこも数ヶ月待ちだったんだけど、たまたま別の病院に空きがあることを発見。 まだ返事をもらってないけど、来週診察を受けられるかも。 来年は周りや会社にカムしなきゃいけないなーとか、親にはどう伝えようとか思いは巡らしていたんだけど、まさかの数ヶ月前倒し。 嬉しい反面、心の準備が追いつかない感じ。 なるようになるんだろうなとは思うんだけど、この受験直前みたいな感覚は慣れないなぁ

MDKのガイドラインが改定されました

前回と前々回の記事で述べたMDKのガイドラインですが、先日改定版が公表されました。公式サイト上ではまだ見れないのですが、トランスのコミュニティで出回っていたので読んでみました。

ホルモン治療や性別適合手術を受けるための、精神科医や心理カウンセラーとのカウンセリング期間について以下のように変更されています。

  • 50分のカウンセリングを少なくとも12回、6ヶ月以上の期間に渡って行うこと
  • 性別適合手術については、上記と並行して12ヶ月のリアルライフテスト

つまりホルモン治療は6ヶ月で、SRSは12ヶ月で受けられるということになります。繰り返しますが、あくまでもこのガイドラインは推奨なので、医師やカウンセラーが個別に判断することは可能です。

SRSの保険適用を申請するのに必要な書類も、新しいガイドラインに従って変更されると思います。

ドイツで性別適合手術を法定健康保険で受けたいとき

まだ私はホルモン治療すら始めていないのですが(予約はしてるけど3ヶ月待ち)、ドイツでSRS費用を法定健康保険に負担してもらう場合の流れをまとめておきます。ドイツで生活して保険に加入していないといけないし、労力的にも時間的にも大変だけど、タダでできるというのは魅力的。

ガイドラインの要約

MDKのガイドライン前回の記事参照)を要約すると、性別適合手術を受けるための条件としてこんなことが書いてあります:

  • 精神科医又は心理カウンセラーの診断
  • 併発している症状(特に精神に関するもの)がない、または十分に安定している1
  • 精神科または心理カウンセラーでの定期的なカウンセリング(18ヶ月以上)
  • 望む性別での生活に慣れていること(18ヶ月以上のリアルライフテスト)
  • 6ヶ月のホルモン治療(健康上の理由でできない場合はその証明)
  • 強い精神的苦痛があること
  • 性別適合手術の術前評価に問題がないこと

このガイドラインはあくまでも推奨なのですが、SRSの費用を保険に負担してもらう場合、上記の条件に合致しているか厳しめに審査されるようです。例えば18ヶ月以上カウンセリングを受けていない場合、多くの場合審査に通らないとのことです。

申請に必要な書類

上記ガイドラインに沿って各々の保険会社が審査に必要な書類を決めています。だいたい下記の書類が要求されるようです。

実際に必要な書類は加入している保険会社に問い合わせてください。

  • 精神科医または心理カウンセラーによる詳細なレポート(Ausführlicher Befundbericht)
  • (心理カウンセラーに通院した場合)精神科医による追加の見解書(Ergänzend ärztlich psychiatrische Stellungnahme)
  • 自分史(Transsexueller Lebenslauf)
  • 2名の医師の診断書(2 Gutachten)2
  • 内分泌科医の見解書(Stellungnahme vom Endokrinologen)
  • 染色体検査(Chromosomeanalyse)
  • ホルモン治療前と治療中のホルモン値(Hormonstatus vor und während der Hormontherapie)
  • 施術を担当する医師が発行した、手術のリスクについての書類(Arztbrief wegen den Risiken der Operation)

つまり、先に手術してほしいお医者さん3に会って、話を通しておく必要があるということですね。上記の書類を集めて、保険会社に送って、審査がOKだったら、いよいよ手術日を決める段取りになります。お医者さんによって違うみたいですが、だいたい1年~1年半先まで予約がいっぱいのようです。つまり、カウンセリングからSRSまでだいたい3年はかかる計算ですね。

と、ここまでまとめてみたけど、私はそこまでやるかまだ分からないかな。胸は欲しいけど、自分の下半身に対してそこまで嫌悪感があるかと言われればそうでもないというか。けど、日本に帰ったとき温泉とか入りたいしなー。悩ましい。


  1. ようは鬱病とかの症状がないかどうか

  2. ドイツ国籍で、性違和を理由にすでに名前変更した人は、その時に提出した診断書でもいい(日本人には関係ない)

  3. ドイツ国外でもEU内のお医者さんなら保険適用だけど、それ以外はダメらしい。つまりタイとかはNG。

ドイツでのホルモン治療開始まで

大まかな流れ

ドイツでホルモン治療を受けるためには、まずPsychiater (精神科医)またはPsychotherapeut(心理カウンセラー)に通って、ホルモン治療の承諾書をもらう必要があります1。この承諾書をもらえるまでの期間はまちまちみたいで、1~3回程度のカウンセリングでOKの場合もあれば、半年~1年以上かかる場合もあるみたいです。国内の医療サービスの中立機関であるMDK2ガイドライン(2009年版)3では、12ヶ月間のカウンセリングとリアルライフテストが推奨されています(必須ではない)。

ホルモン治療の承諾書をもらったらEndokrinologe(内分泌科医)に予約入れて4、診察を受けて問題がなかったらホルモンの処方がされます。Urologe(泌尿器科医)、Gynäkologe(婦人科医)、Allgemeinmediziner(一般医)など他のお医者さんでも処方はできるみたいだけど、やっぱり専門医に診てもらったほうがよさそう。ホルモン治療の費用は保険適用内で、自分で申請したりする必要はありません。

ちなみに髭の永久脱毛やボイストレーニングの費用も、精神科医か心理カウンセラーに一筆書いてもらって保険に申請すれば負担してもらえます。

で、私の場合

2~3年くらい前まではホルモンは考えてなかったんだけど、ある時に不本意アウティングというか、「面白い人がいる」ってさらし者にされたことがあってひどい落ち込んで。それ以来とりあえず自分でできること始めようと、脱毛したりメイク練習したりして、外も歩けるようになって。空港の身体検査で半ギレ気味に「Boy!?Girl?!」って聞かれるぐらいにはなりました。

そして最近、精神的にも年齢的にも5きつくなってきたので、思い切って近所のカウンセラーに電話してみたら、あっさり通えることになって。もう数日前から電話しようか迷って、イメトレずっとしてったんだけど、意外とあっさりいくもんだね。カウンセラーの先生もトランス患者さんが初めてらしく(しかもアジア人)、それが功を奏したのかもう2回目で「で、そのホルモン治療のために私はなにができるの?」と聞かれました。先生はガイドラインとか何も知らないみたいで、私が自分で承諾書の例文を持っていってサインをもらうという。これでいいの!?6


  1. ホルモン治療の承諾書を貰うだけなら精神科医と心理カウンセラーのどちらでもいいんだけど、SRSを受けるには精神科医の診断書が必要なので、そこまで考えてる場合は精神科医のほうがいいかも。

  2. Medizinischer Dienst der Krankenversicherung。健康保険等の医療サービスの審査だとかガイドラインの制定とかしてるらしい。加入している健康保険にSRSの手術費を負担してもらう場合も、最終的な認否はMDKが行う。

  3. https://www.mds-ev.de/fileadmin/dokumente/Publikationen/GKV/Begutachtungsgrundlagen_GKV/07_RL_Transsex_2009.pdf

  4. というかまだカウンセリング受けている間に承諾書をもらえる目途がついたら、先に予約しちゃったほうがいいかも。法定保険だとフツーに数ヶ月~半年待たされる。

  5. ぎりぎり昭和生まれ。こっちの人には20代に見えるらしいけど。平成に生まれたかった笑

  6. ガイドラインは推奨だし、リアルライフテストも(自主的に)やったしと心に言い聞かせてる。

はじめに

TL;DR

もしかしたら同じ境遇の人がいるかなと思って始める、ドイツ在住のIT系MtFの日常系ブログ。 JavaC++で何か作りたいけど、インフラ系の仕事が多くてちょっと嫌になりつつある。 ドイツでの性別移行とか健康保険の話とか、ITに関係ない人にも参考になる内容にしたいです。

あんた誰?(エンジニア編)

日本で大学を出たのち、いろいろあって数年前にドイツに移住し、そのままエンジニアとして就職して現在にいたる。 最初の会社でIBM Notes/Dominoのアプリケーション開発に携わったものも、一回りも二回りも古いJVMを使わざるを得ない状況に絶望して転職。 (退職した直後にJava 8に対応したけど、新しいDate and Time APIに対応したとは思えない笑) 今はJEEやSpringでバックエンド、AngularやVue.jsでフロントエンド、TerraformやPython駆使してAWS上にインフラ構築など、なんでも屋さんです🙂

あんた誰?(MtF編)

幼い頃から淡い性別違和はあったけど、親がお堅い系の仕事だったため言い出せず高校まで過ごす。 大学時代は親元を離れ、髪の毛を伸ばし、コスプレや女装を頑張ってみたけど、なんだか中途半端な自分にもやもやを抱える。 男じゃないのはわかるんだけど、はたして私は女なのかな?恋愛対象は女の子なのに?みたいな。 女の子をデートに誘ってみたりもしたけど、男らしさを求められてるんじゃないかっていう感じがして自分にプレッシャーをかけちゃってうまくいかず。

その後はなんだかんだ中性(?)みたいな立ち位置で生きてきたけど、ここ数年で自分が「男化」していくことにだんだん耐えきれなくなる。 先月とうとう近所のセラピストを探して診察を受けてみたら、あっさりホルモン治療の承諾もらっちゃう。 来年からホルモンを処方できる専門医に通院できる予定。(ドイツでは数ヶ月待ちは当たり前🙁) ちなみに、ホルモンもSRSもドイツでは保険適用です。(SRSまでやるかわからないけど。) その辺の事情も、今後まとめていきたいです!